抽象化、概念化、一般化、普遍化、演繹、帰納

タイトルの用語について明確に理解していなかったので整理した。まずは用語の一般的定義から。

 

概念化

まだ概念的説明されていなかったり、それを言い表すちょうど良い表現ないよう特定現象ものごとなどについて、新し概念や用語などを作り出し言い表すこと。概念化する能力のことは、「概念化能力」などとも呼ばれる

抽象化

抽象化(ちゅうしょうか)とは、思考における手法のひとつで、対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は無視する方法である。抽象化において無視することについては捨象するという。従って、抽象と捨象は盾の両面といえる。

一般化

1 広く行き渡ること。また、全体通用させること。「週休二日制が―する」
2 論理学で、さまざまな事物に共通する性質抽象し、一つの概念にまとめること。概括。普遍化。

普遍化

個別的・特殊なものを捨て、共通なものをとり出すことによって概念法則などを引き出すこと。

演繹

一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る推論方法である。

帰納

個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則法則を見出そうとする推論方法のこと。

 

これらの用語の関係について、人の顔を題材に整理してみたい。

今は「顔」という言葉があるが、その言葉が無い状態から議論を進めることにする。説明のための図をまず載せる。

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まず、人の顔は千差万別である。もし「顔」という言葉がなかったら、いちいち「Aさんの頭部正面の特徴」「Bさんの頭部正面の特徴」と言わなくてはならない。そこで、「頭部正面の特徴」(「顔」と言われる概念)とは何かについて考えることにする。

ここで行われるのが抽象化である。抽象化は、抽象と捨象という二つの行為を同時に含む。字面の通り、抽象は「抽く(ぬく)」こと、捨象は「捨てる」ことである。抽象と捨象によって、対象の理解に必要かつ十分な項目を選択する。たとえば、Aさんの顔について、大きさや輪郭、目の大きさ・形、鼻の位置、唇の厚さなどである。以降、これら抽象化によって得られる情報をここでは「本質」と呼ぶことにする。

次に行われるのが概念化である。概念化は、複数の本質をまとめる作業である。抽象化によって得られるのは、「Aさんの頭部正面の本質」であるので、Aさんについてしか言及していない。これを、BさんとCさんについても適用し、得られた複数の本質(Aさんの頭部正面の本質、Bさんの頭部正面の本質、Cさんの頭部正面の本質)をまとめて表すと都合が良い。そこで、たとえば「カオ」(カタカナは故意である)というラベルをつけることで、「Aさんのカオ」「Bさんのカオ」などと表現できるようにする。

概念の適用範囲をより広くするために、一般化が行われる。一般化は、普遍化によって概念を客観的にすることである。たとえば、「カオ」はAさんBさんCさんから得られた概念だが、これから、「人の頭部正面の特徴のうち、人と人と見分けるのに必要十分なものの集合」など定義することによって、まだ見ぬαさんやβさんにも「カオ」という概念を援用することができる。そこで、この「カオ」を普遍化して得られた定義を逆適用して「カオ」を広く適用可能にする。これを一般化といい、「カオ」の一般化が「顔」である。なお、この例での普遍化は「帰納」によった。その他に、「演繹」によってもよい。演繹のほうがより強い一般化を得られるが、適用しやすいのは帰納であろうと思われる。

 

なお、この解説および定義は私なりの解釈に基づくものであって、専門家による学説に基づいたものではないことをお断りしておく。